ここに書くまでもなく、アメリカ南部の都市ニューオーリンズはハリケーンKATRINAによって壊滅的な被害を受けた。僕はまだアメリカ合衆国とその国民性、個としてのアメリカ人について理解が足りていない。しかし、KATRINAが僕に見せつけたのは、これまで思ってきた通りのアメリカだった。
報道によればKATRINAによる被災者数は数十万人、死者・行方不明者は数千人に上るとみられている。数値的には阪神大震災と同クラスの災害となる(ちなみに、スマトラ沖地震は死者・行方不明者だけで30万人近く、被災者は数百万人とさらに一桁上の惨事となった)。
では、ハリケーン1つで大国アメリカがなぜこれほどまでの被害を出したのか。台風ならば日本にもかなり強いものがやってくる。KATRINAは日本の台風とは異質の飛びぬけた強さを持っていのだろうか。
どうもそうではないようだ。瞬間最大風速90m/s、中心気圧902hPaは、確かに日本の分類でも「猛烈な」と形容されるように非常に強いのは間違いないが、これほどまでの被害をもたらしてしかるべき化け物ではないようだ。同程度の強さの台風は近いところでは2年前の14号が瞬間最大風速74m/s、中心気圧912hPaだが、これでも日本の観測史上4番目でしかないという(ちなみに観測史上最も低い中心気圧は、1979年の20号の870hPa)。
もちろん台風やハリケーンの上陸の仕方が日米では異なるが、これまでの報道を見ても明らかなのは、今回の災害は自然災害というよりは人的な二次災害であるということ。最大の被害地ニューオーリンズは、都市化や沖合いでの化石燃料の採掘のため地盤沈下が進み洪水に対して非常に脆い状況となっていたという。そして、数年前には地元紙がハリケーン対策の特集でこの状況に警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、脆弱な堤防も防災対策も見直されることはなかったという。ブッシュ大統領は予測不能な惨事というが、彼が予測不能だっただけである。防災用の予算は増やされるどころか削られたというのだから、黒人と貧困層の多い南部を軽視していると非難されても無理もないことである。
#先の大統領選でブッシュに踊らされて彼を後押ししたのは南部の票である。彼らは大統領に不平を言うのもいいが、自分達が選んだのだと言うことを良く理解するべきだと思う。
KATRINAが見せつけたアメリカはここからである。
被災地が極めて過酷な状況にあるのは容易に想像がつくが、それを実感するのは無理な話であろう。しかし、無法地帯と化したとしても、略奪や強盗だけでなく、暴行、強姦までもが横行するというのは全くもって理解し難い。僕が大嫌いな、そして予想通りのアメリカの側面だ。救援の遅れへの苛立ち、不十分な防災対策への怒りは分かるが、何故同じく被災した仲間に対してまでも刃を向けられるのか。結局、彼らがカッコをつけていられるのは自分に余裕のあるときだけなのである。他人の自由や権利を意識するのは、自分が十二分に満たされた後のことなのだろう。もちろん、犯罪に走る人間が一部の人間であることも、アメリカの国民性が日本のそれのように均質なものでないのも理解しているが、周囲の個としてのアメリカ人とのギャップを僕はまだ整理することができない。
僕が子供や孫に聞いて欲しい歌が3つある。
上を向いて歩こう、Imagin、What a wonderful worldである。
What a wonderfull worldを歌うルイ・アームストロングの故郷はニューオリンズだそうだ。彼は娼婦を母に持ち、父親は誰だか分からなかった。まだ人種差別も強かった(今も決して無くなってはいない)時代に、彼はそこにどんな素晴らしい世界を見たのだろうか。
What A Wonderfull World Louis Armstrong
I see trees of green, red roses too
I see them bloom for me and you
And I think to myself what a wonderful world.
I see skies of blue and clouds of white
The bright blessed day, the dark sacred night
And I think to myself what a wonderful world.
The colors of the rainbow so pretty in the sky
Are also on the faces of people going by
I see friends shaking hands saying how do you do
They're really saying I love you.
I hear babies crying, I watch them grow
They'll learn much more than I'll never know
And I think to myself what a wonderful world
Yes I think to myself what a wonderful world.
彼のしゃがれた声が僕に教えてくれるのは、平和な心こそが世界の素晴らしさに気づかせてくれるものだということ。そして、彼が置かれた状況を思うとき、その心はどんな境遇でも持てるものだと語りかけられる気がする。こんな素晴らしい歌を生み出す文化をもつ国なのだから、うわべではない本当にカッコいい姿を目指して欲しいものだ。
- 2005/09/02(金)|
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- 2005/09/08(木) 18:10:18 |
- *途記度紀・・◆・・・●